_なんだかんだあって私の携帯電話の番号が変わった.知りたい人はメールでも送りつけるように.それから今まで聞いた全員分の電話番号消失.すみませぬ.バックアップ重要.
_せっかく覚えた番号だったのだがなあ.結局のところ,直接的には私の過失でデータや番号を失ってしまったわけではないのだが,でもバックアップくらいは取っておけば今頃教えてもらった分のデータは残っていただろうにとは思う.もしかして今使っているHDDが壊れたらどうなるだろうとか考えてみると,かなりの量のデータが消え去る気がする.バックアップが重要であるということは重々承知しているのだが,しかし結局のところ,バックアップとは手間がかかるものなのである.
_仕事で作ったプログラムのバックアップ体制は確かそれなりなものを組み込んだ気がする.三台のマシンをLANで接続した後,ひとつのデータ毎に全てのHDDにバックアップしているのだ.基本的に普段はサーバー(と勝手に決めた他と変わらないPC)にデータを読みに行くような機構になっているのだが,そのサーバーのHDDは確か既に二回ほどクラッシュしているはずだ.それでも,失ったデータはひとつかふたつ程度で済んだらしいから,バックアップもまた役に立っているわけだ.それに確か,サーバーに障害が起きても自動的に他のマシンがサーバー代理をするようなプログラムも組んだ気がする.もっとも,正常なのに障害が起きたと誤認するケースが多くて最終的には外したのだが.今のところ臨機応変に対応すべきところは人間に任せるべきのようである.
_が,しかし今の私のデータ,どれだけバックアップしてたかと考えると,既に前回バックアップから一月ほど経ちそうな雰囲気である.できればHDD内部全部をまるまるバックアップしておきたいのだが,さすがにそれは容量的に難しい.いつもやるバックアップは基本的に重要なデータをCD-RWに焼きこんでおくという手段を取っているのだが,数年前ならHDDまるまる入るような容量だったCDも,今では小さすぎてどうにも使いにくいのである.しかし当時のバックアップ手段といえばフロッピーだったのだから,まあバックアップの手間はあまり変わっていないのかも.
_もっとも最近はLANで繋がった別マシンのHDDにバックアップしておくなんていう手段も使えるから,多少は手間も減ったのかもしれないけれど.RAIDでも組むかね?
_秋は好きだ.夏へ向かう春ではなく,冬へ向かう風が吹く秋が.そして陽射しは少しずつ弱る.
_そーだねー.日本って四季がはっきりしているのが特徴だというがまったくだ.というか,季節ってやっぱり少しずつ移ろうもので四つにきっかり分かれているわけでもないから,はっきりしてる,だなんてのもどうかとは思うけど.言わんとすることは分かるが.基本的に私は秋から冬にかけては結構好きだったりする.丁度今頃か,もう少し前くらいが良い時だろう.もっとも緯度によって大分違うだろうが,私の住んでるあたりだとそうなる.
_春じゃなくて秋だと言うのは,まあ冬が好きだからだろう.夏はどうも苦手である.暑すぎる.連日摂氏約四十度ではさすがに参る.で,冬は暖房器具でなんとかなるから良いのだ.要するに,冷房器具がない.
_ちょっち手が冷たくなってきたこの頃.もうそろそろ,冬か.
_今日は日記のネタがあるからいいやー,とか思ってぼけぼけしていたらいつの間にかこんな時間になっている罠.そうだよ21時まで拘束されることきっぱり忘れてたんだよ.非常に危険.そして気温が低くなってきて手が冷たくなっちゃって動きがぎこちないという障害.参った.勘弁してくれ.
_ネタってのはもちらむださんのチャット話.詳細はリンク先を見てもらうとして,とりあえずしゃしゃり出て行ったわけです.まあ,なんていうかせっかくだしらむださんと少しでもお話できたらラッキーとかいう程度で出ていったんですが,思ったよりお話できて嬉しかったです.でもそういう理由も何とはなしに恥ずかしかったので,建前としてはらむださんに月陽炎(すたじおみりす)を布教するために出て行ったということに.でも結果としては何故か水夏(CIRCUS)の布教になってしまった模様.あっれー.でもまあいいか.私はそれなりに水夏好きですよ.ええ.でも四章ヒロインは歌月十夜のレンよりも犯罪な気がしていけません.
_ところでIRCのログはしばらくまどか嬢に取り続けさせるつもりではありますので,いつでもご自由にいらっしゃってくださいまし.ただし誰も来ないと無駄なログ取り続けさせるなとお叱りを受けるような気がしなくもないので,適当に出てきてくださると存続の可能性が高くなります.むしろログ公開方面でらむださん専用ちゃっととして永久に置きますか? とか言ってみたいところですが,それはちょっと他の鯖メンバーに要ご相談かも.いずれ消える危険性があることはご了承のほどよろしくお願いします.いや,まどか嬢のログ取りが消えるだけで,チャンネル自体は自由に使って頂いて結構だと思いますけれども.
_それから,私本人は脳内オフには参加してません.敢えて強調.行かせたのはリーとその父親なのであって私本人ではないのです.そしてあったとしたら次回も多分そうするでしょう,申し訳ないですが.それにしてもこの機会に知名度をって...こんな小説もどきの知名度上げてどうするんでしょう.というか悪い方の知名度しか上がりそうにないです.ところで続き書けよ私.
_ともあれまたおしゃべりできることを期待しております.
_新しいおもちゃ発見.どうやら母親がノートパソコンなるものを購入したらしい.我が家初のノートパソコンである.またおもちゃが増えたわけだ.母親のものなのに私が使っているという謎な状態.持ち運びの用途で必要な時は借してくれるとかいう話だったが,それは一体どこまでなのやら.
_とりあえずOSはMeのようだが,ユーザプロファイルで自分のアカウントを作ってデスクトップ環境やスタートメニューの環境を整える.本当はファイルの関連付けとかもしたかったのだけど,他のユーザ設定にも影響を及ぼしそうだったのでとりあえずは諦めることに.しかしエクスプローラを標準で開くようにはどうしてもしたいのだが.母親に掛け合ってみるか.あと,さっさとNetBEUIプロトコルをインストールしてくれるよう頼まなくては.母艦があることを前提として購入したのに,繋がらないのでは役に立たない.ところで,母親のマシンなのに選んだのはほぼ父親と私というのは,なんていうか妙な感じである.妹君方はやっぱり自分で選びたいじゃんとか言っていた.
_キーボードはとりあえずフルキーボードなので,それなりには使いやすい.以前のワープロ君はキーピッチが小さすぎて使いづらかったのだが,こっちは大丈夫だ.のっぺりとした感じではあるが,まあ許容範囲だろう.ただ,何故かアンダーバーのキーとShiftキーとの間に上矢印キーが割り込んできているレイアウトになっていて,いや詰め込みたかったのは分かるのだがShiftと間違えて上矢印を押してしまうのでどうにもいけない.後はCtrlキーの位置がどうしても問題になってくる.間違えてCpasキーを押してしまうのだ.キーバインドの変更したらきっと家族は怒るだろうなあ.ユーザプロファイルで個人的な変更ができるとか知っている人がいらっしゃったら是非教えてくださいまし.
_あと,何かと四つUSBポートが標準付属しているのはなかなか嬉しい感じである.USBマウスの安物が余っていたのでとりあえずひっ繋げてみる.おお,動く動く.って当たり前か.それにしてもあのトラックパットだかなんだか,マウスの代わりにノートパソコンに付いているアレ,本当に使いやすいんだろうか.最近慣れてきてある程度使えるようにはなってきたものの,どうにも気に食わないのは確かだ.あれでマインスイーパの高得点を出すのはどう考えたって無理だろう.え,トラックボールやトラックポイントでも無理ですか.なるほど,それもそうかもしれぬ.
_ついでに今使ってるキーボード,つまりHHK Lite2がUSB接続だったので,外して持っていって繋いでみた.使える使える.やはり使い慣れたキーボードは使い安いことこの上ない.何気にノートパソコンのキーボードとほぼ同じ大きさなところが素敵である.このキーボードを搭載したノートパソコンとか出ないだろうか.出ないですか.いやでも,ほらキーボードだけ取替え可能とかそういうのは.やっぱ無理ですか.そうですか.すみません.
_ところで母親のマシンだってこと忘れてないか私.
_ちょびっつ.誰それがいつぞや貸してくれたのだがもしかしたら日記に感想でも書けとかいう脅しかもしれない.書けと言われれば何か書くことがあったような気がするのだがいざ書いてみようとすると何もかけない罠.困った.
_とりあえずは好きである.なんだそりゃ.ちぃ嬢は確かに可愛いしだれだったかよくわかんないんだが可愛いいことは認めよう.いや名前を覚えてないんだが.ちぃが何気に着せ替え人形化しているような気もするが,なんだかんだいってそれはCLAMPの持ち味というか癖というか.CCさくらもそうだった気がする.あと妙な伏線の張り方もCLAMPばりな気はするが,しかしCLAMPがやるだけあってきちんと回収してくれるだろうという安心感が先行してこのあとどうなるんだろうとかいうどきどき感がない.なんともはや損な読み方な気はしなくもないが,まさかCLAMPがきっちりけりをつけずに終わるとは考えられないのだ.要するに,なるようにしかならない.
_あとは何気に自覚症状の現れ.つまりレイアースだのCCさくらだのというレベルと同等だと思って妹に買わせた私はきっぱり間違いだった,とかそういうレベルである.完璧に読者層を切り替えてきたように見える.いやまあ,売れればいいのだからいいのだが.ちぃの衣装だの,ちぃはパソコンだとかいう設定だの,その辺.あとは困ったことに妙な張り方をされた伏線はちぃがパソコンであることの設定をきっぱり使ってしまっていたりもする.ちぃ.
_口癖とはえてしてうつりやすいものらしい.だが舌打ちと勘違いされそうなそれはどうよ.
_ああ...ぼけっとしていたらこんな時間だった.日記をまだ書いていないことに気付いた.早く寝るつもりだったのだが.
_そいや,ONE卒の再販アンケートができたみたいです.というわけで,手に入れ損ねちゃったーという方は是非投票して下さいませ.
_ところで最近何気に寒くないですか? 私は寒いです.暑いよりマシな気はするけど.しかしまあ,なんていうか手がちべたいです.血液の循環が悪いんだかなんなんだか.コレステロール値はいつぞやひっそりと危険値に近づく勢いだった気がするんだけどそれいつ調べた奴だっけ.六年くらい前のやつか? ってそれ役に立たねーっ.だがいずれにせよ手の先とか足の先とかいうのは非常に冷えるのだ.冷え冷えー.そういう体質なんだ仕方ないだろう.しかしキーボードが打ちにくくなるのが一番の問題だと思うこの頃.
_...じゃなくてそれは以前から思ってた.手書きよりマシかもしれないけどなんかこう,ほらかくかくした感じ.色々読み物あるしこの辺で.えっ,月陽炎? ...あうー.そ,それはもうちと待ってぇ...
_うむ,つまり私がねこねこに対して同人くさいと言うことの八割あたりはそれが原因である.ただ,世界の破壊は得てして作る方としてはそれなりにやってみたいものである.自分で作った世界なのだから自分で操作する権利はあるし,そしてその力も持つ.行使して何が悪い.無理に例えてみれば,シムシティなるゲームで巨大な都市を作り,それに災害を起こして破壊するようなことだ.衝動的にやりたくなることがあるだろう.それなりにやりこんだ人なら,一度もやったことが無いというのはちと難しいのではないか.
_やるなというのは分からないでもない.当然読者たる私は思うわけだ.せっかく構築した世界をどうして破壊してしまうのかと.世界を楽しんでいる読者をバカにしているのかと言うなら,時にそう思わなくもない.私はプレイしたことは無いのだが,ねこねこのWhiteは批評を聞くにそのあたりさんざんだったらしい.やりすぎだと.しかしそれをやってはいけないとするのもまたやりすぎである.作者に権利が無いとは言わせない.そしてまた,そのことを自覚しその効果を把握した上で確信犯的に使用することも,時には表現の手段として有効だろうからだ.ファンサービスのこともあるだろうし,時にはその外部的な世界の破壊を計算して物語を紡ぐこともまた,上手くすれば絶大な効果があるだろう.
_例えば身近なところで言うと歌月十夜か.この際同人だからプロだからとは言わないことにする.あれは途中でキャラクターたちが現実について言及する.上手いファンサービスである.月姫を前提にしてそれを許させた.それからGPMなんてのもある.明らかに外部的破壊を強く意識し,それを完全に計算した上で世界を構築している.破壊されることが前提の世界を構築したのだ.失敗しているだろうか? いや,効果的な表現だったはずだ.もっとも,私はまだSランク取ってないので深く言及はしないしできないけども.
_もっとも,極めて恐ろしい武器であることも間違いない.使い方が飛びぬけて難しい上に,失敗したら被害は甚大だ.ハイリスクハイリターンとでもいうのか.それからまた別の話として,世の中プロだから許されることというのは往々にしてある.まあ,とりあえずのところ,ねこねこのWhiteは武器の使い方に失敗してるっぽいな,というのはなんとなく思うところであるし,基本的にねこねこはプロでも許されるレベルの使い方ではないような気はする.何の計算もなく,ただ作る方が壊したくて壊しているようにどうしても見えてしまうのだ.ファンサービスにもなりえてない.もっとも,水夏の二章に関してはちょいと言及しかねるが.
_忘れてはいけないのは,虚構世界と現実世界は完全な別物ではないということだ.その創造された世界もまた,現実という世界の一部だということである.物語の住人はその世界の住人であると同時に,現実という世界にも自動的に属するのである.もちろん,虚構世界を作る側として,虚構世界が現実世界に内包されていることを意識させるように虚構世界を構築すべきではない,という主張は理解するし同意もする.さも完全なる別物かのように世界を構築することができるのが虚構世界を作る者として持っていてしかるべき実力である.しかしその実力がある上で現実世界に内包されていることを意識させたいのなら,意識させることによって何かが生まれれば良いということだ.逆に言えばそれで何も生まれないのであれば,世界構築に失敗しているといえる.使う武器のリスクを知れ.
「誰か来た!」
スタンリーが薪集めから帰ってくると,リーが叫んだ.もしかして自分が探査魔法だかなんだかに引っかかってしまったのかと思って,自分であることを知らせようとしたそのとき,リーの第二声が飛んできた.
「お父さんじゃない.スタンリー,伏せて!」
反射的に,彼は薪を放り出して地面に伏せた.何かが頭の上を通り過ぎたようだ.どうやらリーは既にスタンリーの到着を知っていたらしい.背を向けていたにもかかわらずだ.ということは,いずれにせよ探査魔法だかなんだかにはひっかかっていたのかもしれない.
スタンリーはとりあえず身を起こすと周りを確認した.いつの間にか左隣にはリーが杖を構えていて,目の前には見知らぬ男が二人,片方は魔法使いなのか杖を持っているようだった.寝かせておいた御者はまだ目を覚まさないのか自分の後ろ,そして先ほど確かに何かが通り過ぎたと思ったのだが,後ろにはなにがあるわけでもなかった.
「だれ?」
杖をその見知らぬ男たちに向けて構えて警戒を緩めないままリーが尋ねる.
「おや,お嬢ちゃんひとりだけかい.そりゃあ好都合だ.一緒に来てもらおうか」
「嫌よ」
リーがきっぱり即答すると同時に,男二人が動いた.言うことをきかないのであれば力ずくで.単純だが,ある意味効果的だ.
突然,杖を持っていないほうの男が,何か金属の棒を持ってスタンリーの方へ打ちかかってきた.彼は反射的にそれを避けると,彼はその男に足払いをかけた.が,避けられる.仕方がないのでナイフを取り出すと,金属の棒の第二撃をそれで受け止めた.金属と金属がぶつかり合う高い音がする.
対して,リーの方は杖を構えた警戒態勢のまま動いていない.相手の魔法使いらしき男も同様だった.スタンリーには分からない何かがお互いに行われているのかもしれなかったが,少なくとも外見上に動きはなかった.
少しのつばぜり合いの後,相手の男はすっと後ろに引いたかと思うと,スタンリーが反応する間もなく,まだ目を覚まさない御者の首筋に棒をあてがった.ただの金属の棒かと思っていたそれは,先が見事に尖っていた.しまった,人質だ.
「やめて!」
声が聞こえて振り返ると,リーがその御者と,その生殺与奪を奪った男の方を向いて杖を構えていた.
「無駄な殺生はしたくない」
首筋に凶器を宛がった男が低い声で言う.
「一緒に来るんだ.さもなければ」
「やめなさい!」
男の声が終わる前にリーの鋭い声が飛んだ.
「やめなさい! 第三級魔法使いの命令よ,止めなさい!」
魔法使い権限.リーはそれを発動しようとしていた.下位魔法使いは上位魔法使いに逆らうことはできない.もっとも,そういう規則が世界的に存在するわけではない.魔法使いは等位でない限り圧倒的な力の差が出るため,争う意味がないというだけだ.位の低い方が一方的に負ける.だから,無駄な争いを避けるためにそのような暗黙の了解が魔法使いたちの中で出来ているのである.
リーの周りに,強い風が吹き始めた.魔力の余波による空気の移動だが,これはリーが今行使している,階級証明魔法に正式に含まれるものだ.続いて杖の先から光球が現れて,リー胸の前で静止した.光球の方も階級証明魔法の一部.単に純粋魔力が具現化したとき光を放つだけのものだが,今行われている証明魔法や,ただの光源としてよく使用される.
第五級は風を纏うだけでよい.魔法使いなら必ずできることだ.第四級は,それに加えて杖の先に光球を纏わりつかせる必要がある.魔力を上手く制御できなければ無理だ.さらに第三級では,杖を媒体にせず光球を中空に維持する必要がある.媒体が無くなった魔力は急激に制御が難しくなる.第二級はそれに二つの光球を追加し,さらにその光球を移動させなければならない.その軌跡によって等位でも差が現れてしまう部分だ.そして一級.その上に杖を手放し,それを中空で維持しなければならない.杖に直接触れていなくても杖の魔法式が使用できなければ無理である.
今リーがやってみせているのはそのうち三級証明だ.
「……三級かね? その歳でか?」
杖を持った男はそれなりに驚いてはいたようだ.だがすぐに杖を構えると,風を纏い,杖の先から三つの光球を放つとそれを飛ばした.そして光球は彼の周りをくるくると美しくまわり始める.つまり,二級証明.
「では第二級魔法使い命令により,その魔法使い命令を停止してもらおうか」
一瞬リーははっとしたようだったが,それでもまだ諦めていないようだった.風を維持し,中空に維持した光球をなんとか動かそうとしていた.二級証明が完成すればお互い等位になる.そうなれば,お互いに魔法使い命令を譲らない場合,争うことになりかねない.そもそも争いを避けるためのものなのになんと不毛なことか.しかも,例えここでリーが二級証明に成功したとしても,成り立ての二級ではほぼ勝ち目がないことははっきりしているのに.
それでも,リーが小さな体で懸命に風を維持し光球を操ろうとしている姿は,かっこいいというよりもむしろいじらしかった.風がばたばたと彼女の髪と裾をはためかせる.
だが,杖を持った男も,杖から指を離そうとしていた.
_まずお帰りなさいませ.毎日楽しみにしている日記が突然見られませんとかいうのはそれはそれで寂しかったのですけども,またこうやって再開してくださるなら文句ないです.ていうかなんていうか,しのぶさん宛てには挨拶一言が一番いい気もしないでもないです.言わなくても伝わるとかいう幻想を信じているわけではなくて,伝える必要があるのは挨拶で伝わる部分までなのではないかという.
_ぐはぁ.いや,非常に申し訳ない.なんていうかちょっと寂しかったので何か書き込んでやろう,と思って冒頭の文を書き始めたんですが,もしやこれって原作でのあの場面がそのまま使えるんじゃないかとか思い立ってやったらやりすぎてしまったかも.しかしいずれにせよ一週間以上も放置されて切実感が溢れまくってたのは決して私のせいじゃありません.敢えて言うならあのサイト知ってて気付かなかった人か,気付いても反応返さなかった人が悪いです.もっとも,あれやったのが別の人で,私が気付いたかどうかというのは妙に疑問ではありますけども.それにしてもあれ,何も言わずに放置してたら一体いつまで放置されてたんでしょう.ていうか放置しっぱなしにしておけばあれ書き込んだ犯人は私だと知れなかったかもしれないのに.
_でもそのしてやられた気分は私も早瀬さんがindexの更新止めた時にしっかり味わっておりますので,是非仕返しは早瀬さんに.いや冗談ですが.でも正直アレにはかなり頭に血を昇らせたというかなんというか.いやもちろん仕返しする気はないし仕返ししてもらうつもりもないですけども.じゃなくて,大体悪いのは裏でちゃんと続いていることに気付かなかった私なのだし,それじゃ仕返しも何もないってばよ.
_ところで,私もあるのは価値観の差異と好き嫌いってのには同意します.どんなことであれ作者はファンサービスのつもりでやったのかもしれないし,そもそも作者がやりたかったからやったことこそファンサービスになり得るのでしょうから.比較論で語ったところで,自分の立場や見方によってどちらが良いのかは変わるでしょうし,そもそも人間が違うのならどちらが良いだの正しいなどなんぞ見る人間によりけりでしょう.大げさな例を挙げてみましょうか.例えば戦争.戦っている彼らはどちらも正義です.自分が正しくて相手が間違っている.ではその戦争を外から見てる人はどう思うか.無駄な命が失われる,だからどちらも悪だと思う人もいるかもしれません.いや,もしかしたらどちらも疲弊するから,こりゃ漁夫の利だと思う人もいるかもしれません.つまり正義だの悪だの,良いだの悪いだの,正しいだの間違っているだの,そんなものは全て自分の立場,見方,そういったものを固定しなければ出てこないってことです.そりゃ,それを正しいと思う人が多いとか,そういう議論をするならそれもまたいいですし,そういう議論をすることが実際多いでしょう.でも数が多いほうが正しいなんて,それ本当ですか?
_1+1が2になるなんてそんなもん嘘っぱちです.それは10になるんです.2なんてのは存在しないんです.例えばそう主張しましょう.え,それは違う? まあ,確かに違うでしょう.つまり数学に基づく定義に従うのであれば,です.立場や見方を固定するというのはそういう意味です.数学が正しい答えを出せるのはつまり,数学に基づく定義や公理が存在するからで,それに基づいて考えるから正しいといえるのです.でも,そうでなかったら冒頭の1+1が10になるっていうのは正しいのかもしれません.いや,実はこれは別に数学から外れる必要もなくて,これを正しいと主張したいのなら,前提として数を表現するのに10進数ではなく2進数を使っているといえばいいだけです.私は別に数学に詳しいわけではありませんので墓穴を掘りかねませんが,例えば三角形の内角の和は180度になる,それは数学の定理として正しいはずですが,でもやっぱりそれにも前提があって,ユークリッド幾何学で考えるならば,というものが付きます.非ユークリッド幾何学では確か内角の和が180度にならない三角形も存在したはずです.いや,詳しく知らないのに例に挙げて申し訳ありません,詳しく知っている方いらっしゃったら訂正なりなんなりお願いします.
_話を戻すと,それは価値観の差異と好き嫌いじゃないかというのに同意するというのは,前提が違えば当然結果は違ってくるよという話に同意するというわけでありまして,つまり誰それの意見が違うなどと言いたいわけではないのです.そして自分が正しいと主張するわけでもありません.ただ私はこう思うと言っているだけ.そう,お互いにそういうことを言い合っているだけです.それでまた何か考えられるなら,それはきっと素敵なことです.ええ,きっとですとも.
「……三級かね? その歳でか?」
男はかなり驚いていた.目の前の少女が一体何歳なのかは知らないが,そもそも魔法使いの杖を携えることすらまず難しいと思われる子供が,三級証明をしてみせているのだ.連れて来いとだけ言われた.確か親だか誰かが居るということでそちらは上級魔法使いだという話だったが,まさかその少女本人が三級魔法使いであるなどとは聞いていない.一人だけで好都合かと思ったが実際にはそうではなかったか.
相手が魔法使い権限で押さえ込んでくるつもりなら,こちらもそれに倣うとしようか.無駄に争っても時間を食うだけだし,それで収まるのならこちらとしても有利だ.
男は杖を構えると,風を纏って光球を放った.二級証明.
「では第二級魔法使い命令により,その魔法使い命令を停止してもらおうか」
相手が三級なら,二級で押さえ込める.そう思ってのことだった.しかし少女は諦めていないようだった.まさか,二級証明を完成させようとしている?
今回はどうやら驚くべきことが多すぎるようだ.この少女が二級に上がろうとしているとは.三級を押さえ込むには二級で十分だと考えていたが,それは甘いらしかった.仕方がないので,杖から手を離し,杖を宙に浮かせようとする.つまり一級証明を実行してしまえば,何も問題はなくなる.
「待ってよ.だったら第一級魔法使い命令により,その第二級命令を停止してもらうよっ!」
が,そのとき,声が聞こえてきた.はっとして振り返ると,そこにはまだ大した年齢でもないだろう少年が,杖を携えて立っていた.いつの間に.気付かなかった!
そして次の瞬間,その少年を中心に渦状の風が吹き荒れ,その風の中を自由に飛び回る光球が三つ.そして杖は――少年が胸のあたりで軽く開いた両の手の間に,静かにふわふわと浮いていた.
第一級証明.もしや,この子供が,少女の親とかいう奴か? は,馬鹿馬鹿しい.そんなはずはない.どう考えても目の前の少年は,少女のような歳の子供を持つような年齢ではない.
「待つがいい,少年よ.こちらも第一級に訂正させてもらうぞ!」
男はそう言うと,杖を手放した.杖がふわりふわりと中空に浮く.
少年は押し黙った.魔法使いは一級までだ.お互い譲らないのなら,争うことになる.もっとも,相手が譲るとは到底考えられない.何しろこちらは既に人質を取っているのだから.
先の少女はまだ三級証明を維持していた.額に汗が浮かぶのを見て取るに,どうやらかなり消耗しているようだ.三級を見たときには驚いたものだが,三級を維持するのにも苦労しているのでは二級に上がってはこれまい.やはりといったところか.
お互い一級証明を維持したまま動かない.少年はしばらく何か考えていたようだが,静かに口を開いた.
「何の張り合いをしてるのか良く分からないけど,状況を見るに人の命がかかってそうだね」
ちらり,と,倒れた御者の方に目をやる少年.
「譲るわけにいかないとなると.僕と争うかい? あまりやりたくないんだけど」
「そうだな.こちらとしても争わずに解決できるならそうしたいものだが」
男はそう答えた.結局のところ,少年の証明魔法を見るに,自分では到底敵いそうにない.同じ位だったとしても,やはり力の差は現れるのだ.しかし,争いに紛れて少女を連れ去ることくらいはできるかもしれない.
「僕も争いたくはないけど.まあ仕方ないよね」
少年はそう呟くと,左手を挙げた.それにつられるかのように杖が高く舞い上がる.
何をするつもりだ? とっさに男は身構えた.証明魔法を維持しつつも,幾つか防護魔法の展開準備をする.
少年の杖はある程度まで上がると静止し,その後回転を始めた.しばらくするとまたぴたりと停止し,そのまま重力に引かれて落ちてきた.ぱし,と,少年がそれを手に取った――
「な……!?」
違う!
少年の手にある杖の形が違う.先ほどまで持っていた杖は少女が持っているものと似て簡素で,木で出来た棒の先に魔力媒体となる宝石類がひとつ埋め込まれているだけのものだった.だが,今もっているものは全然違う.もっと派手に装飾が施され,魔力媒体となる宝石類が幾つも埋め込まれ,ところどころに鋭利な金属のようなものがぞいている.
「まさか……」
あれはまさか.物理攻撃としても突く,切る,叩く,投げる,など.そして魔法に関しても同時に複数の属性を扱えるようにと考え複数の魔力媒体を埋め込み,魔道式を複雑に組み込み,とにかく色んなことを一本で出来るようにと機能を追加したといわれる杖.魔法使いの中では伝説となりつつあったが,もしかして本物か?
「まさか,魔道士の杖……!?」
しかし,確かその杖はあまりにも色んな機能を追加しすぎて,個々の機能はそれほど役に立たなくなったのだと聞いた.ならば,何だ.一体なんなのだ.この威圧感は!
「うん,そうだ.多分,君の言う魔道士の杖だろうと思うよ.でもまあ,なんだか世間一般では誤解してる節があるから説明しとくよ」
少年が静かに告げる.それは事実であると.
「これは魔道士の杖のうち一本.多機能型の杖だ.一つの機能に執着せず,どんな場面にも対応できるように様々な機能を次々に追加していったもの.歴代の魔道士が少しずつ機能を追加し,また合成することで複雑さを削り,今はこんな姿だ」
派手に装飾されていながらも,確かにそれほどごつごつとした感じは受けない.機能の割には簡素に仕上がってはいるのかもしれない.いや,どれほどの機能が追加されているのかは知るよしもないが.
「そして,世の噂だと,あまりの多機能さに役に立たなくなったとかいう話だったけど……」
少年はくるりと杖を回転させた.
「全くもって失敬だね.確かに君らが使ったらそうだろうよ.でも,本物の魔道士が使ったらどうなるのか――」
そして杖を正面に構える.
「その目で確かめてみるかい!?」
――そうか,そうだったか.あの威圧感は,なるほど.
なんとはなしに,男は冷静だった.少年が杖を一直線に構え,こちらへと間合いを詰めてくる.
――なるほど.確かに杖だけで見たら全て中途半端なのかもしれない.だがそれを補う魔道士が使えばどうなるのか.
反射的に彼はその杖を避ける.だが杖は突然動きを転ずると,彼のわき腹を強打した.続いて彼の持つ杖を引っかき,ローブの裾を貫く.全て一瞬の出来事.
――物理攻撃でこれだけの威力を発揮するものが,もし魔法を使うために使用されたらどうなるのか.彼は,そんなものを自分の目で確かめてみる気には到底なれなかった.
「撤退!!」
一言叫ぶと,彼は一目散にその場から離れていった.
_なんだか気が滅入る.というか滅入っている.そういうこともあるのかもしれないが,なんていうかまだこうやってせいぜい気が滅入ってるとか書いちゃえるくらいには大丈夫だ.などと自分をごまかしつつこの頃.何もないのに気が滅入ってるのか何もないから気が滅入っているのかそのへん妙だし,原因といえば挙がるのかもしれないがなんとはなしにそれほど大きなものも挙がらないような気がする.そんなもん全然小さい全然大丈夫だと言い聞かせてる節もあるのような気もするし,塵も積もれば山となるとかいうのはいい諺なのかもしれない.まあ要するにそのへんは別にどうでもいいのだ.自分でもよくわかってないものは説明できん.要は気が滅入っているみたいなのである.
_最近の物欲は本だ.本.ライトノベルとかではなくて専門書系統.問題は分厚くて値段が高いことで,つまり金も時間もない.しかし色々欲しいものは欲しいもんで,アルゴリズムの本も一冊手元に置いておきたいし,UNIXの本も手元に一冊あると便利そうだ.TCP/IPとかの本も欲しい.IPv6だかなんだかもそうだし,まあなんとなれば通信関係の書籍だ.私だってその辺勉強しておきたいのである.Rubyも面白そうだし勉強してみたい気はする.ついでにGAとかNNとかの本も買って勉強したいところなんだが,これに関しては如何せんどの本がいい本なのかわからないとか言うのも問題になる.あとは円周率関係の本に興味をそそられたとかいうのもあるが一応これはちょっとした冗談だ.ちなみに小数点以下50桁までなら空で言える.もちろん意味はない.
_欲しい本のうち殆どは,実際のところインターネットという強力なツールにより不要とはいえる.だからどうしても高い金を払ってまで購入しようとは思えないのだが,しかしそれでもインターネット上に点在している資料よりも本というかたちでまとまっている方が使いやすいし,何よりも紙媒体はディスプレイに比べて遥かに読みやすい.そしてマシンが無いところでも読めるとか,意外と使い勝手が良い.図書館で借りるという手もあるかもしれないのだが,なんとはなしに古かったりとか,短期間で返さねばならないので手元に残らないのがどうにも使いにくいところだ.本屋で何度も手にとるのだが,お値段3000円だったり5000円だったり,時には10000円とかだったりしてなるほどそれこそ気が滅入るという言葉を使うのがいいような気がしてくるではないか.専門書とは得てしてそういうものだろうが,それでも高いものは高い.
_で,参ったことにその時間と金を吸い取っているものの正体はゲームである.ゲーム.もううんざりだ.一体私は何をやっているんだ.大体において,ゲームなんてものは私にとっては娯楽であるはずのもので,せかせかやらにゃならんといってやるようなものではないはずなのだ.一体これはどういったことだ.こうなったら一切プレイせずにパッケージ買いですとか主張するぞ.全く.
_ところでFalcomからZwei!!なるゲームが今度発売されるらしい.毎度ながらFalcomは宣伝が上手い.上手いし,それに中身の作り込みが大抵は結構きちんとしているので,安心して買えるという部分は大いにあると思う.見た感じからして見送りかとずっと思っていたのだがしかしなかなか上手い宣伝は如何ともしがたい.普通に楽しめるかなあ.よし,普通に買おう.
_何がうんざりだ.この大馬鹿め.
_ぬはっ.何でみんな冗談だって言った円周率に反応してますかっ!?
_それはともあれ,まあ冗談といえどそれなりに興味深い本ではある.もっともあの高い本を本気で買う気にはなれないのだが,それでも図書館にあれば借りてきて真面目に読んでもいいかな,とか思う程度には.というか,まあ読み物としては面白いのかもしれない.なんせどこぞの動物の遺伝子配列(そう,TAGCってやつだ!)を四進数として解釈すると円周率が現れるとかなんとか書いてあるわけだから.一部数学的考察も書いてはあるけど,まあわからないなら飛ばしても楽しめるだろうとは思う.もし円周率がなんとやらという性質をもつのなら,どこかに自分の名前が隠れているはずだ,とか.
_なんだかんだっていいながらも,不思議と魅力的な数であることは確かみたいだ.ちなみに私も覚えたのは中学生の頃だったが,実際にその存在を習うのは小学校五年生あたりである.ついでに私がその存在を知ったのは(理解したのは,ではない),多分小学校一年生の時である.当時円周率を習いたての先輩が(いや小学校では先輩とは言わないが),自慢げに算数(懐かしい響きだ)の教科書を開き,「えんしゅうりつっていうのはむげんにつづくんだよ!」と教えてくれたのである.もっとも教えてくれた彼自身もどれだけ理解していたかは知らない.
_そして学校で習ったのは多分小学校五年生の時で,その日は授業参観だった.コンパスで厚紙に円を書かせ,それを切り抜いた円板を転がして外周を計り,それを直径で割って円周率を求めるなんぞという素敵な授業であったが,当時の私は(困ったことに)円周率が3.14であることを知っており,「えんしゅうりつは3.14になるはずだ!」などと叫びつつ(本当に声に出していた!)円周が直径の3.14倍になるようにあの手この手を尽くして計測を誤魔化したのである.ダメダメの典型.理論値とどれだけ誤差があるか,そしてその誤差の原因を考察するまでが実験であるから,もちろんそういうことをしてはいけない.ちなみに,当然ながら親もその私の叫び声を聞いており,帰ってから恥ずかしいからやめなさいと叱られた.もっとも当時の私は,ちゃんと正しい値を出したのだからいいではないかと反発もしたが.
_実際に円周率を覚え始めたのは中学校に入ってからだ.何故覚えようと思ったのやらよくわからないがともあれ図書館に行って本を調べ,その本に載っていた小数点以下1000桁までをノートに書き写して覚えたのである.性格なのかなんなのかよくわからないがどうにも語呂合わせみたいなのは好きでなくて,頭っから「さんてんいちよんいちごうきゅーにーろくごーさんごー...」などと真面目に覚えていた.当時覚えた端は「ごーいちゼロ」で,小数点以下50桁である.100桁まで覚えようとはしたし,一時期覚えていたこともあったのかもしれないのだが,残念なことに今は100桁まで言うことは出来ない.
_ちなみに実際に私が覚えていた円周率は小数点以下61桁まで.なんか中途半端だと思うかもしれないが,これは覚え方に起因するもので,なんせあたまっから数字をたらたら並べていただけだったから,たまたま記憶的に切り良く止まった場所がそこだったというだけなのである.そんな覚え方のおかげで途中で邪魔されてつまると続けるのは無理.ついでに,偶然にもとくそんさんより一桁多いようだがこれは別に対抗意識を燃やして慌てて一桁追加して覚えたとかそういうわけではない.決してない.断じてない.とか言うと信じてもらえない可能性が格段に高くなるが,まあ一応これはホントである.
_ところで,何で私はこんなこと書いてるんだろう.
_ONE卒の宣伝.どうやら100部で再販が決定したかと思ったら結局200部作っちゃうんだそうです.ちなみにもちろん第二版です.改訂版ですよ.誤字とか修正しちゃいます.ですんで既に持ってる人もちゃんと買いましょうねー.手元においておけば泥棒退治の警棒代わりに使えますし.でも乱暴に扱っちゃダメですよ.てかそれ発言が矛盾してます私.ついでに夏コミのときに買い損ねちゃった誰かさんは是非買ってくださいますよう.
_あと一月もすればONE卒に飛び込んでから一年ほど経つことになる.去年の今頃は馬鹿みたいなことをしてた.が,似たようなことを今もしてて,結局あまり成長してないってコトなのかもしれない.
_もう既に自分で自分を追い詰めてしまったような気もするし,それは錯覚で背後の塀は大して高くなくてさっさと飛び越えられる程度のものであるような気もする.でなければ,私を追い詰めているものなんぞひと殴りしてみれば勝てるのかもしれない.
_苦手だ,やりたくない,なんて言っていても仕方ないことは重々承知しているけど,やっぱり苦手なものは苦手なのであってそれはどうしようもないのだ,などと言ってみたくもなる.
_やればできた,とかいうのも虚しい.それは確かに正しいのかもしれないけれど,結局その仮定の「やれば」が出来ないのだからどうしようもないのだ.そもそも何かやりたければその「やれば」の部分をやらねばならないのである.できるようになるかもしれないという可能性を論ずるだけなら,数学とかなんだとか持ち出して厳密に突っ込むならともかく,そうでなければ無限大だとか言っても差し支えなさそうではないか.
_最近大分寒くなってまいりました.もっとも緯度によって全然違うので住んでる場所によってめちゃめちゃ突っ込まれまかねませんが一応.日中日が照っていればある程度暖かくて,朝夕は肌寒いこの頃.そんなときは当然軽く脱ぎ着が可能な上着を着ることになるわけですが,実はこの季節ながらの罠が待ち構えておりました.
_教訓.上着のポケットには貴重品を入れないこと.
_当たり前だ! とか突っ込まんといてやってくださいまし.上着のポケットの方が使いやすいとかまあ色々あるのです.それはともあれ,この上着っていうのは暖房の効いている室内にいるときなどは脱ぐわけですが,今の季節だと昼間は部屋の外に出てもそれほど寒いと思わないので注意が必要です.特に暖房が効きすぎてたりするとおお涼しいなあとか思い始めるので注意が必要なのです.つまり上着を忘れるのです.ポケットに貴重品突っ込んだまま.
_体験遮断.間違い.体験者談.
_あとで気付いて取りに戻ったら,そのままの状態で残っててくれました.めでたしめでたし.
_お言葉ですが.その色指定は初めからありました.ん? ホントだっての.なんだよなんだよ! お前らその疑いの目は何だよっ! クラス追加したのにCSSファイルアップロードし忘れただけじゃねーか! 色々あったんだよ! もうほっといてくれよッ!!
_ところで,どうよと聞かれているのは一体どういう意味なんでしょう? なにかおかしかったですかね? スタイルシート使う上でのクラス名の指定として不適切って言われるんだとするとそうかなあっていう気もしなくもないんですが.でもねえ,これは意味的に白を言いたいから指定したクラス名なんだし,ならいいと思うんですけど...その辺どうなんでしょ.
_ん? よく読んでみると銀色と言いつつ
ってありますね.何ですかそれは.私そんなこと言ってませんよ.銀髪と言っているんであって決して銀色だなどと言っておりませぬ.
「撤退!!」
何が起こったのか良くわからなかった.ただ強風があたりを支配して,少年の杖の形が変わった.そうだ,なんだか魔道士の杖だとかなんだとか言っていた,それに変わったのだ.そのあと少年が杖を持った男に突き進んでいって,あとはただ撤退という叫び声が聞こえただけだ.二人組みの男はいつのまにか姿を消していた.御者を人質に取っていた男もだ.逃げていくときに投げ捨てたらしく,両端が鋭く尖っている金属棒が転がっていた.
少年はただぼうっと立っているだけだった.穏やかな風が少年の周りを巡る.風に揺られて木々がざわめいて,少しずつそれが静まっていった.
「おとうさん!」
完全に静まると同時に,リーが叫んで駆け出していった.そして少年の足にしがみつく.おとうさんおとうさんと嗚咽交じりの声が小さく聞こえた.
「ああ,リー.よくやった.もう大丈夫だ」
少年はリーを抱き上げ,優しく髪を撫でてやっていた.
「よしよし,そうか,怖かったか? もう大丈夫だ,ほら,そんなに泣くなよ……」
少年がリーをあやしながら,スタンリーの前まで歩いてくる.
「……なんかさ,泣かれちゃうと困っちゃうよね,あはは」
少し照れたような顔で苦笑しつつ少年が言う.
「何を言うか.歳相応ではないか? むしろあれだけやったんだ.正確に何歳なのか知らんが逆に異常だろうが」
「ああ,まあそうやって言われるとそうなんだろうけどね……」
「俺はな……」
スタンリーは言葉に一度詰まってから,正直に言おうと思い直して続けた.
「俺はな.奴らよりよっぽどお前の方が怖いぞ.むしろリーはお前に怯えているのではないかと思ったくらいだ」
そう言うと少年はまたむすっとした顔をして言い返す.
「また失礼な人だね.そうだったら僕にしがみついてくるはずないじゃないか」
「それは,そうだ.そう……」
つまり,結局のところこの少年は確かにリーの親なのだということなのだろう.だが,魔道士の杖という不思議な杖の威圧感はいかんともしがたかった.自分はこんな奴を暗殺しようとしたのか? こいつを敵に回したらどうなるのか? そして,こいつは本当に,妹クレアの仇なのか……? 分かりやすくて分かりにくい.あまりにも妙だった.
「ま,僕のことはいいとして,彼らは一体何者だったんだろう?」
「さあな.リーを連れて行きたかったらしいがお前は何も知らないのか?」
「リーを? うーん.だとしてもなあ.あんまり思い当たる節がないんだ.もしかしてリチャードだったら次に会ったときぶん殴ってやる」
「リチャード?」
聞いたことのあるようなないような名前が出てきて彼は聞き返した.
「うん.リチャード.可能性の一つとして考えておくとして,だとしたら彼には悪いことしたかもね.杖には傷つけちゃったし,ローブにも穴空けちゃったし.仮にも一級なだけあって安物じゃなかったみたいだしねえ.ああ,まあでも,リチャードへの経済的圧力としては適切だったのかも」
「……だから,リチャードとは?」
「どこぞの豪奢な椅子に座ってふんぞり返ってる兄ちゃんだよ.それ自体は文句言わないし彼にだって立場はあるんだろうけどね,どうにも」
そこで言葉が止まったかと思うと少年は少し思案したようで,少し間が空いてから次が続いた.
「あはは,ま,結局憎めない奴だね」
「……そうか」
聞いているほうもどうでも良くなってきた.
「さて.野宿なんて嫌だけどね,この調子じゃ仕方なさそうだ.スタンリー,薪を集めてきてくれたんだろう?」
そういって,先ほど投げ捨てた薪を見やる.
「ああ,そうだった」
そう言って散らばった薪を拾い集め,焚き火の形を組み上げるスタンリー.
「さ,リー.もう大丈夫だろう?」
「うん……」
リーが少年の胸の中で小さく頷くと,少年はリーをゆっくりと降ろした.ごしごしと目を擦ると,軽く杖を振って薪に火をつけた.
_今日は流れ星を見に行っていた.獅子座流星群である.確かに,いつぞや母親が19日の2時あたりが良く見えるのだと喋った時,よっしゃそれなら昼間に寝といて夜見に行くか! とか言ったのは私だ.しかし寒いし眠いし実際はあまり見に行く気は無かったのである.が,当日,というか日付的には昨日になって妹君が騒ぎ始める.どうやら本気で見に行くつもりらしい.去年や一昨年も見には行っているはずだが,帰ろうと言いはじめるまでに一つか二つみられればいいところだったのであまり乗り気ではなかったのだが,何気に親も乗ってビニルシートを持ち出す始末.血は争えない.仕方ないので私も見に行くと決め,22時あたりにはさっさと就寝.
_大体2時頃だろうと思う頃に目が醒める.ごろごろ.家族は起きない.奴ら見るとか言ってたくせに見る気は無いのか.見ないならどうでもいい,それほど見えやしないのだから.ごろごろ.このまま寝るか,とうつらうつらしていると,母親が入ってきて私を起こす.なんだ結局見に行くのか.そう思ったら玄関から父親が入ってきて騒ぎ出す.「凄い! 凄い凄い凄い!」何が凄いもんか.
_...いや凄かった.
_何が凄いって,蛍光灯の明かりがあるのに星が見える.私は特に星に興味があるわけでもなかったし,むしろ全然興味なかった.学校の成績的にも星分野は全然駄目だった.だから正座の名前なんて言われても全然わからないのだけど,だが行儀良く三つ星が並んでその周りを四つの星が囲むオリオン座は,蛍光灯の明かりが邪魔なのにも関わらず気持ち悪いくらいくっきりと見えていた.そして.僅か数分空を眺めていただけで,数える気も失せるほどの流れ星が流れていった.六つだろうか? 七つだろうか? だがしっかりと尾を引いて一際強く輝く流れ星たちが,いくつも見えるのだ.凄い光景だった.流れ星ががさがさと流れていく.なんだかもうありがたみも何もない.空を見上げていれば幾つも幾つも見えるのだから.
_しばらくして,家族揃って暗いところを探して出かける.近くのグラウンドに丁度良い蛍光灯の陰になる場所があったのでそこにビニルシートを敷いてみんなで寝そべる.流れる.流れていく.星が流れていく.「あ,流れた!」「あっち!」「真上!」「頭の上!」分間三つどころではない流れ星が次から次へと.忙しいことだ!
_「今の言語体系だと流れ星が流れる間に三回言うのは無理だから,とりあえず理想の光景を思い浮かべる,とか」
_「あ,連続で流れた!」
_「もしかしたら,連続で流れたのあわせれば三回くらいお願い事言えるかもね」
_「花火みたい」
_「ホント,花火と勘違いしそうだよねえ」
_耳が痛くなって鼻も痛くなって,体が冷えてきたところで父親が帰ろうといい始めた.一体どれだけの流れ星を見ただろう? 去年や一昨年も見に来たかも知れない.そしてそのときはもっともっとギャラリーが居たはずだ.でも殆ど見えなくて,見えた見えたという声が聞こえるたびに,意味がないことを分かっていながらも言われた方向を向いた.だが今回はどうだろう! ギャラリーは少なかった.私のように,どうせ去年や一昨年と同じだろうと思っていた人が多かったのだろう.だが違った.酷く見えた.本当にありがたみがないではないかと思うくらい.見えた見えたという声が何度も上がり,今何時だろうと時計を取り出す間に幾つも流れ,あっちに見えたこっちに見えたと見るのに忙しい.まるで花火か.なるほどよく言ったものだ.
_さあ,もう幾つ見たかなど分からない.だが100と言っても問題なさそうなくらいは見た.実際には60から80くらいだろうか.しかし,まるで漫画のように長く明るく尾を引く流れ星を見たのは,生まれて初めてのことである.
_快晴.空の何割が雲だのどうのだの定義を調べる必要もない.明らかに快晴.世界はまるで雲という存在を忘れたかのように空が青く広がって,太陽を上空で遮る物は存在しなかった.ってそんなことが言いたかったわけではなくて.
_もちろんその記述の仕方は私もしようと思ったのですが,困ったことに手元にあるNetscapeで確認すると何故か無視されるのです.色だけでなくてstyleの部分が全て無視されている感じの模様.今現在redだのなんだのというハナっからおかしなクラス名が付いているものは,実はインラインのstyleで指定していたのにNetscapeで正常に再生してくれないということに気付いたから作った無茶なクラスのです.規格も重要だけど再生されてなんぼ.とか,そんなこと言ったらもっと古いバージョンだとかはそもそもCSS再生しないから微妙なんですけど,まあ私の基準として,手元にあるIEとNetscapeくらいでは確認しようかというその程度.
_ところで,KISAさん.何気に色彩能力試験だかなんだかの教科書を見る機会があったので見せて貰いましたが,何気に瑠璃色って濃かったです.いやなんとなく.少なくとも柚鈴の髪は影の部分とってみてもそれほどは濃くなかったよなあというのが私の個人的な感想ですが,もっとも照明具合だのディスプレイ設定だので色は違って見えてしまうのでなんとも言えませんが.別に色彩云々の資格持ってるわけでもないですし.しかもそこはかとなく
とかいうのが非常に微妙な表現.
_(別のことで)落ち込んでる時にその挑発は堪えました.でもいいですよ名雪の件の仕返しだと思って受けてみせましょうとも.ちなみに,月陽炎柚鈴シナリオのネタバレになりかねないのでご注意を.しかし,本音を言うと私はこの話をしたくないのです.
_ONE卒宣伝.ついにお店に押し付けることに成功した模様.そんなわけでイベント待たなくてももしかしたら買えるのかも分かりません.もっとも,どこぞの誰かさんは行けて名古屋のメロンでしょうし,そうなると売ってるのかどうかという気はしますね.なんにせよそういうことあんまり知らないもんで.名駅まで行く電車賃とか考えると,サークル通販まで待ったほうが吉かもね.とか,誰かさんへの私信.
_KISAさん,「あかね堂」改め「茜、どう?」2周年おめでとうございます!
_とか先手打ち.意味はないか.そういうわけで日記師匠はついにサイト開設から2年経ったんだそうです.これからも頑張ってくださいまし.ちなみにそうするとうちのサイトは1年と2月と2日ということになりますね.だから何だとかいうことはないですけども.来年は2年と2月と2日ですかね.と2時間2分2秒とか無意味なことをやりたくなるのが人間かもしれませんが秒数まで合わせるのは大変かもしれず.なのでやらないと思う.なんじゃそりゃ.
_昨日は「茜、どう?」の二周年で助かりました.そうでなければ気落ちのあまり毒日記を書き出していたかもしれません.おめでとうだけの日記も寂しい気はしますけど,毒日記よりマシと信じましょう.が,いつまで続くやら.
_そして今日はらむださんのチャット.通称「らむだちゃっと」略称「らむちゃ」ってそれいつ決まったの? それはともあれ,タイミングのいいときにチャットがあってやっぱりよかったです.結構落ち込んだ状態を持ち込んで迷惑かけた気もしますけど,それでも自棄になって萌えとかいい始める程度に壊れられたのはせいぜいその精神状態のお陰だとでも思うことにします.結局のところらむちゃから落ちてしばらくしてしまうと現実に引き戻されてまた気が滅入ったりしてあまりよろしくない状態なので自覚があまりないのですが,迷惑かけてましたらどうも申し訳ありません.あとで復調してからログ読むとひどいことになってるんだろうな.あう.
_なんだかんだってらむださんは一人称がポイントなのかもしれないとか思いました.彼は一人称に「ぼく」を使います.この一人称がまた彼を表しているというか,でなければ彼が彼だからこの一人称なのか.私はWeb上に居なければ一人称は私でも俺でも僕でも色々使うんですがWeb上だとどうしても私しか使えないみたい.そして理由なんて多分私にしか通用しません.銀髪みたいに.というか日本語とは不思議なもので,一人称が違うとそれに続く文が全然変わってしまうという性質を持っているような気がします.だかららむださんの一人称は「ぼく」.「私」だとなんとなくのっぺりする気はしますが汎用的に使えるという意味では便利なのかもわかりません.
_ところでリーの一人称ってなんだっけとか全然ダメダメなこと喋ってましたが,彼女の一人称は「リー」でした.よくよく考えてみれば設定上それは当たり前のことで,それ以外に彼女が自分のことを呼べるはずもないのだけど,世界が既定されないとどうしても上手くいかないらしいのです.少年なんかはアイデンティティを保てるかと思ったのですがきっぱり無理でした.世界が違うから.状況が,とでも言いましょうか,いずれにせよ人間は場面に応じて全然別のことをするものです.例えばみんながあるひとつのゲームや物語のキャラ限定で全員がなり茶すればそれは上手くいくのでしょうが,そうでないと上手くいかないのです.複数の物語からキャラを導入するにしろ,その場に仮世界を構築しないと多分上手くいかないんじゃないかな,などと思ってみたりはします.どうでもいいことな気はしますが.
_話題に出さないことは出さない.全て自分の基準.言いたいことはあってもここでは言わないこと.ここだから言えること.状況に応じて行動は変化する.
_過去ログはかなりみづらい.というのは書式とか色とかそういうのが問題なわけではなくて,一体何を書いていたんだという感想が表に出る.恥ずかしさ.馬鹿馬鹿しさ.そしてまたいつかの未来には今書いている文もそうなる.だけど時として掘り出し物を見つけたり,純粋な記録として役に立ったり.掘り出し物は各個人によって別物だが他の誰でもない私にとって価値のあった自分の文章.ここのもの.
何かを守って生きられるような強さがあればいいけど.何かを守って生きられる強さが欲しいけど.ただ自分のことだけで手一杯な私は,私に守られてくれる強いものが欲しい.私に守られてくれる強い人が欲しい.私にそういう錯覚を,どうか抱かせて.
_もっとも最後に妙な印象は受ける.書いた当時も妙な印象を受けていたという記憶が蘇る.でも同時に当時の私がどんな思いでそれを書いたのか,それも蘇り私ははっとする.馬鹿なことしか言っていないが,でも自分にとっては意味があるのだろう.ただの弱音でしかないのだとしても.
「その娘に決めたのね」
少女をベッドに寝かせてやると,後ろから声が聞こえた.振り返らなくても誰かは分かる.
「――母さん」
振り返ればそこには長い黒髪の女性.右手には杖を構え,真っ白のローブを着ている.少年は少しうつむいて答えた.
「うん……駄目かな」
「客観的なことを言わせて貰えばあまり賢い選択ではないわね」
そう言われると少年は肩を落として,先ほど倉庫の中から助け出した少女を眺めた.真っ白の髪,真っ白の肌.色というものを持つを忘れたかのような少女.しかしその衰弱度はあまりにも酷かった.
「でも母さん……放っておいたらこの娘は死んでしまう.なんとか助けてやりたいんだ.でも母さんもいつも言ってるじゃないか,いくら魔法でも助けるには限度が――」
「はいはい,分かってるわよ,駄目といったところであなたはそうするんでしょうね.ええ,そりゃ十二年近く母親やってれば分かるわよ.それになにより」
そこで諦めたように肩をすくめた.
「あなたは私の息子だものね」
「母さん,じゃあ――」
「ええ,好きになさい.どうせ私も私の父さんも,そしてその前もずっとそうやってやってきたんだから.まだ魔道士の杖を受け取る前に決めてしまうところも同じ.親に賢い選択ではないと呆れられるのも同じ.そして後になってその理由を知るのも同じよ.血は争えないってことね,全く」
「……母さん,もしかして僕を選んで後悔したの? 賢い選択ではなかった?」
「あらあら! またこの子は何を言い出すかと思えば.そりゃ賢い選択じゃなかったわよ.強情な息子でねえ.言うこと聞かないし自分で決めたことは曲げないし一人でどっか行っちゃうかと思ったらもう今やこうやって孫決めようなんて! でもねエヴァンス」
ここで彼女は声を落ち着かせて,言い聞かせるように,そしてきっぱりと言った.
「私はあなたを引き取って後悔したことなんて一度もないわよ」
「……そう」
少年は少し安堵したように呟いた.
「さあエヴァンス.でも前に言ったわよね.後継を決めるのはちゃんと魔道士の杖を受け取ってからだって.そりゃそうよねだって魔道士の後継だもの」
そして彼女は杖を少し投げ,落ちてきたところを受け取った.するとそれは先ほどまで持っていた到って簡素な杖はと全然違う,色々なものが取り付けられた杖にいつの間にか変わっていた.多機能型の魔道士の杖だ.
「さて,受け取るにはどうするんでしたっけね,私の可愛い息子――」
彼女が言い終える前に,少年は真剣な顔になってはっきりと言った.
「シルヴィア! 今ここであなたの魔道士の杖を貰い受ける!」
少年は突然走り出すと自分の杖を繰り出した.シルヴィアはそれをさっと避けると,小屋の外へと飛び出した.少年はそれを追いかけつつ二つの魔法を同時に放つ.
大地から尖った土の塊が勢い良く何本も飛び出し,虚空からは氷でできた矢のようなものがシルヴィアに襲い掛かる.一方シルヴィアはそれを杖でいともあっさりとなぎ払うとさらに後退した.
しかしまた新たに少年の放った魔法らしき炎の壁が彼女の背を焦がそうとし,慌てて身を捻るとそれを叩き消した.連続して虚空から現れた小さな赤い球は,彼女が叩く前に爆発し,少年の方へ突き飛ばすことになった.
少年はそこでバランスを崩したシルヴィアの手から魔道士の杖をもぎ取り,後退する.だがすぐさま体制を整えたシルヴィアは以前の杖を構えて少年を突き倒すと,その首筋に杖の先をあてがった.
「はぁ,はぁ.全く」
彼女は少し粗い息をしながら首を振った.少年はもちろん魔道士の杖を離す気配はない.
「一体どしてこっちは攻撃しちゃいけないのよ圧倒的に不利じゃない!」
少年は動かない――いや動けない.彼女の精神魔法で完全に縛られていた.
「こんなにすぐに奪われるなんて不覚.でもねエヴァンス.いつの間にか強くなったわね.私の知らないうちに.ちょっと甘く見すぎてたみたい.もう少し気を引き締めるべきだったわ……私の反省材料ね,悔しいけど」
そこで彼女は精神魔法を解くと杖をどかした.
「私の可愛い息子オーヴェル! でも規則は規則よ.あなたはこれから魔道士.そしてその自覚を持って行動しなさい!」
少年は起き上がって埃を払った.
「……ありがとう,シルヴィア……いや.母さん」
そう言うと少年は小屋の方へ向かって駆けて行った.
「あーあ.それにしても,もういなくなっちゃうのね,息子って! また新しい杖作って,別の子引き取ろうかしらね!」
諦めたような,寂しがっているような,でもそれでも喜んでいるような,そしてさらに何か楽しんでいるような――そんな複雑な声が少年の耳に届いた.
「……でもエヴァンス,私が二歳くらいのあなたを引き取ったのも,確か今のあなたくらいの歳だったわ.お互い様って所かしら.ふふ.あのとき寂しそうな顔してた父さんの顔がようやく本当に分かった気分よ」
その呟きは少年に聞こえたのかどうか.彼女は言い終えてから少年の後を追った.
そして少年は,先ほど助けた少女の前に立つと,左腕を少女の口の上に出した.
「さあ,これから君に,魔道士オーヴェルの血を分けよう.そして君は僕の娘となり,同時に僕は君の父となる.そんな君を僕はリヴィアと名付け,リーと呼ぶことにしよう」
少年は右手で持った魔道士の杖を左腕にあてがい,すっ……と引いた.赤い血が流れ出て,少女の口に入る.真っ白な少女の顔はすぐさま赤く汚れ,少年の腕から血が止まることはなかった.それほど長い時間が流れる間もなく,少年はふらりと倒れそうになる.
「やりすぎよエヴァンス.ほどほどにしときなさい」
いつの間に小屋にいたのか,そんな少年をシルヴィアが苦笑して受け止める.杖を少年の腕にあてがうと出血は少しずつ収まり,やがて止まった.
「困った子ね.でも,あなたの言いたいことは分かるわ.だって,そうでもしないと助からないと思ったんでしょう? そうよね,私もそうだったもの.だけどあなたが死んでしまったら,この娘はどうなるのよ.私の大切な孫だっていうのに,ほったらかしにしないで欲しいわね」
既に意識の途切れている少年を,まるで幼子にするようにあやしながら彼女はそう呟いた.
「その腕の傷痕は消えないわよ.でも,私とあなたが私のこの傷痕で繋がっているように,あなたとその娘も,あなたのその傷痕で繋がるの.信じられないくらい馬鹿みたいな話だけど.でもきっとよ.きっと」
そういうシルヴィアの右腕には,確かに深い傷痕が残っていた.
_やっぱりあまり気分のよろしくない感じ.というのは体調じゃなくて精神調の話.なので一度書いたものを消す.私だってここ読んでくれてる方々の気分を害したいからこうやって書いてるわけではないのですよ.などと消す前の調子で書き連ねそうなところが異常に怖い.
_えー,そんな風に言われるとは私は少しも予想してませんでした.なるほどヴァンパイアね.今日笑われたんはそれのせいか.じゃなくて,良く考えてみると逆なのではないかなとか思わなくもないのですけど.ヴァンパイアって血を吸って子孫とするんではなかったでしたっけ.だとすれば逆なような.血を与えて子孫とする,です.昨日のアップロード分は少なくとも書き始めた当初からある意味出来上がっていたんですけども,いやでもなんで血なんですかね.別に血でなくてもよかったような気もしますが.でもいつの時代も血というのは生命の源のように考えられているのかもしれません.もしくは魔道士の血を受け継ぐ為の形式的な儀式だったと考えられないこともない気がします.ただ,いずれにせよただの儀式だったとしても,彼ら魔道士の命や能力といったものを分け与える行為としてなんらかの意味があったのでしょう.あとはもしかしたら,オーヴェル本人がスタンリーに説明するのを聞けるかも知れませんが,私自身はあまりそれには期待してなかったりします.
_ところで日曜連載にしようかと最近頑張ってるつもりなんですが続くでしょうか.というかさっさと終わらせたいようなそうでないような.
_何も喋りたくない.絶不調.違う違うと自分に言い続けるのがそのうち悲しくなって,何度も書いては消してという行為を繰り返すのはただの時間の浪費で極めて馬鹿馬鹿しい.とても気が滅入る.自分の書いた文が怖くて仕方がない.そして今のこの文も消すのだろうか? それとも,いつの間にかアップロードしているのか?
_EraseDotを久しぶりにいじってみる.世の需要を見てみるとどうやら256色で使えないのが酷く問題のようなので,なんとかそれの解決策を考える.上手くいったのかいかないのか,それでもまあ一応頑張って設定値をいじればなんとか使えないこともなさそうだ.もっともHighColorやFullColorには一切対応していないが.そもそも対応する意味は無いように思う.
_で,せっかくだから少しくらい真面目にマニュアルを書いてみようかと思い立つがこれが結構めんどい.というか難しい.異常に難しい.自分の作ったプログラムの説明くらい適切にできなくてはいけないはずだが,そうも上手くはいかないようである.例えば,読み手の画像ファイルに対する知識としてヘッダ構造云々は要求できないだろうとかいう部分とかである.これをダウンロードする人はグレースケールとか256色だとか254以上の色とかそういうのわかるんだろうかとかだ.こんなマニュアルでみんな使えるんだろうか.不安だ.読み手を馬鹿にしているとかいうわけではなくて,所謂初心者にも広く使って欲しいという欲望の表れである.ただインストーラとかそういうのは無くてアーカイブどっかに解凍しろとか書いてある時点で,本当の初心者はとっつきにくいのかもしれない.
_EraseDotは一応Ver2.0を昨日のうちにアップロードしたが,まだもうちょっとなんとかしたい気はする.もっとも私自身は絵描きさんではないので殆ど使うことはないんだけど.やっぱり思うのはプレビュー機能が欲しい.なにせ設定値は間と経験に頼らないと設定できないもんだから試行錯誤することになるけど,プレビューがないとそれが非常に大変なのだ.だけどプレビュー機能作ろうと思ったら少しは真面目に画像表示系のコード書かなくてはならないわけで,どうにも苦手とするところである.せめて整数倍拡大や整数分の一倍縮小くらいは実装したいのだけど,意外に難しい気がする.縮小の方は,例えば二分の一だったら四ドットの平均取って一ドット素作画すれば上手くいくだろうか.問題はスクロールの実装なのかもしれず,まあそのうち何とかしてみる方面でほったらかしておこう.
_そうそう.あと,白黒閾値の問題だけど,これ実は画素全体の平均を取った値にすると意外と上手くいくんではないだろうかとかちょっと思った.そうでなくても四分の一平均とか,少し考えてみるといいのかもしれない.要するにゼロを指定すると現在無意味な動作をするから,そういった方式で自動計算させるとかいうのはどうだろうとか思うわけなのである.それにしても,問題はドット数があまりにも巨大なことだ.平均取るだけでも結構大変である.プレビューでも同じ問題が発生するのだけど.
_ところで確かに遠くに行っている気がします.いつの間に彼らは吸血鬼になっちゃったんだか.いや別に全然構わないんですけどね.というか,ただの事の発端なだけで既に彼らは関係無い気も.吸血鬼にしては吸血しませんとだけは言っておくけど,あとはご自由にというか,なんだかんだって話題の種になるのならそれはそれでいいことなのかもね...
_あと,AngelTypeのBGMのVocalは楽器の一種ですので勘違いなさらないよう.歌詞に意味はないし聞き取ろうとしてはいけません.ああいう音のする楽器なのです.てかいいのかそれで.それはともあれ,私は本当にそういう聞きかたしてますね.というかそういう聞き方しかできないんです.ホントに歌詞だけは全然聞き取れない.てっきり私の英語リスニング能力が低すぎるからだと思ってたんですが発音悪いんでしょうか.ま,でも楽器の一種だと思うと意外に綺麗に聞こえると思うんですがどうでしょう.でも一度歌詞聞き取ってしまうとそのように聞こえてしまうのが人間だからなあ.便利なのか不便なのか.
_Badtrans.Bってホントに流行ってるらしい.というか,私なんかのところにも一通来ましたもの.もっとも差出人はぱっと見て誰か分からなかったしさっさと捨てちゃったんで既にどうでもよくなってるけど.まあねえ,ウィルスだワームだっていってIEのバージョンアップだのアップデートだのするのもなんとなく馬鹿馬鹿しいし,OutlookExpressもはじめっからついててそこそこ使えるから使いたいしねえ.でもこういうのは被害は自分だけじゃないってことは認識すべきかもしれず.
_ついさっきも怪しげなメールが来たっていって電話掛かってきたし.父親の知人らしく父親が出たんだけど,さっきまでちょうどその情報ページ見てたら掛かってきたってんで結構驚いてたみたい.途中で私が代わって事情を聞くに,ばっちりBadtrans.Bだった模様.でもまあ,IEのパッチも充ててあったようなので多分感染はしてないでしょう.ウィルスが(正確にはワームか)届くなんていい経験ですよとかいってその場は丸く収まる.意外とセキュリティに関しての関心を高めてくれる丁度いいワームかもね,などと不謹慎を承知で言ってみる.
_ホント,まるで流行病のようだ.これで免疫が出来ればいいんだけど.