気まぐれ一言の履歴.大概謎が過ぎるため読んでも分からないのでこのようにして履歴を残す意味はあまりないのですが,その中でも少しは分かりやすそうな対話形式のものが選ばれ保存されています.少しばかりマシとはいえ謎が過ぎることに変わりはないので謎は謎のままですが,それでも,無意味というわけでもないようです.
「わたしにはいつも居場所がないの」
「自分がどこにいていいのかわからない」
「でもそれはわたし自身のせいなんだって」
「……わかって、いるのだけど」
「そもそも足場を作る場所が無茶なんだ」
「支え無しで空中に固定できるはずがないじゃないか」
「……柱の作り方を知らないの」
「知らないはずがあるか」
「やろうとしないだけだろう」
「……そう。かもね」
「きみは素直でないことを望んで」
「でもきみは、」 .
「でもわたしは、」
「素直でないことに苦しんでいる」
「……わかっているの」
「わかっているのよ、それは」
「でも素直でないことってどんなことか」
「わかる?」
「あなた、謎が過ぎるわ」
「それは」
「ぼくにとっては最高の褒め言葉さ」
「……ばか」
「わかるわけがない」
「そんなで、わかるわけがないだろう」
「そうね」
「でも、だったらどうすればいいの」
「そう。それだけ」
「それだけが――」
「それは本当かい?」
「もしかしたらそんなことですら」
「わかって、いるのかもね」
「でも、それを、やりたく、ないから」
「なんで――」
「なんで、そんなふうに」
「離れてゆく」
「みんなが、離れて――」
「違う」
「……いいえ、そうね」
「離れていくのは、きっと」
「わたし」
「そう、違いすぎるんだ」
「何もかもがね」
「いささか」
「早すぎるのではないかしら?」
「でなければまるで」
「打ち止めの策だ……」
「仕方のないことなのかもしれないわ」
「あきらめるのかい?」
「どうしようもないこっとっていうのは」
「……やっぱり、あると思うのよ」
「だって、」
「そんなのわたしのせいじゃない!!」
「いつまでそうしているつもりだい?」
「いい? よくきいて」
「あなたはヒーローにはなれない」
「そう。かもしれないね」
「でもきみも、」 .
「そしてわたしも、」
「ヒロインにはなれない」
「……そう、なれないのよ」
「一体何をして欲しいんだ?」
「……わからない」
「じゃあ、何をして欲しくないんだ?」
「……わからないの」
「きみのして欲しいときにして欲しいことをし」
「きみのして欲しくないときにして欲しくないことはするなと」
「それは、」
「……ただのわがままでしかない」
「そうね」
「だからわたしは……」
「もう何も言えない」
「世界はどこ?」
「私の、小さな――大切な、世界」
「亡くして――しまった……」
「そんなものは」
「はじめからなかった」
「――そんな」
「そんな、こと」