感想 |
MOON.六年ぶりに帰ってきた母。
それからの日々はほんとうに安らかだった。
本当に飽きるほど、特製クリームシチューも食べた。
ひたむきな母の横顔を見ていると、私のために
失われた時間を取り戻そうとしているように思えた。
だが少し違っていたようだった。
失われた時間を取り戻す事などできないと、
彼女は知っていたのだ。
結局、彼女は失われた時間の、
取り戻すことなどできない時間の謝罪をしていったのだ。
あるいは母としての思い出を必死で残していこうとしたのか。
どちらにしろいい迷惑だ。
私はそのおかげで悲しくなることが多くなるだろうからだ。
あの、特製クリームシチューの味は
二度と忘れることはないだろうから。
こんな思いに駆り立てられることもなかっただろうから。
(c) Tactics
ええと...微妙な再現度ですね.オープニング.重要な部分が抜けているような気がします...が,まあ,これぐらいならネタバレなしってことで...ダメ? BGMはお約束通り「おもひで」でどうぞ.
と言うわけでMOON.です.AIRよりはマシかもしれませんが感想は書きにくそうです.でも,まず始めに言わねばならぬことがあるのです.最強の座にはONEが居座り続けておりますが,べつの意味で...
何度も言いますが,最強の座はONEがしっかりと居座っておりますので...しかし,インパクト度ではこれが最強です.そんなわけで黒文字の最強です.ちなみにスタイルシートサポートしてないブラウザですと色変わってないし文字も大きくなってないんで分からないと思いますけど...
では,気を取り直しまして,私の独断と偏見によるMOON.購入ガイド! 鵜呑みにして損したと思っても私は責任取りません! 以上,ご了承頂いた上で,どうぞ.迷っていらっしゃる方は以下の通り.
なお,ONEとMOON.に関しては,廉価版を購入する事を前提としておりますのでよろしく.
以上(笑).なんか書いてる本人すら無茶苦茶な気がしてきましたけど(汗).まあ,こんな感じです.これ見てると結構AIRの評価が低いですねぇ...
あ,別に私と違って黒いのも平気な方は,どうぞ何も迷うことなくMOON.を購入して下さい.確かに良い作品だと思います.手段はどうであれ...
ネタバレなしはここまで.以下も,なるべくネタバレは控えたいと思いますけど,僅かでも気になる方はやめておいたほうがよいと思います.お帰りはこちら.
では,ようやく感想本編へ...
――残酷なる運命の予感
第一印象は良し.かなり私好みでしたね.おもひで流されて,初っ端から感動してましたよ私.見事なタイトル表示して,短い英文と日付.いいですねこれ...本気で.そして続くはなんとも雰囲気作りの曲じゃないですか.見事に単身宗教団体に乗り込む主人公...同じ目的を抱えた仲間.
個人的には好きですよこういうの.まあ,暗い話ではありますけどね.でも,それなりにありますでしょう? これくらいなら.あちこちでいろんな評価を受けてましたけど,なんだ,これくらいならどうって事もないと思ってました.それどころか,これからどうなるんだろう,だなんて,結構楽しみにしてましたね展開を.
――苦しみの運命は死よりも悪し
そしてマップ移動.なるほど.これまた良い感じ.曲もまあ,ホント雰囲気作りが上手なようで.密かに行動する主人公に重ねて,後になって自分の鼓動も激しくなっている事に気付くほどですよ.なるべく施設の人間に怪しまれないように...もう,自分も隠密行動してる気分でプレイ.や,良く作ってありますねえ.
で,謎の訓練「MINMES」なるものも,これまたプレイヤー泣かせの曲を流してくれまして...悲しい思い出をもう1度ですか.永遠の世界とまでは言わないものの,いい感じの演出.私の期待は膨らむばかりですよ全く.
...と思いきや,突然そういうシーンが挿入されて驚き.どうやら晴香に理由を追求したのが悪かったようですね.まあ,もともとそう言うゲームですけど...ONEやKanon位穏便ならまだしも,ここまでやってくれると微妙な感じ.ま,別に良いですけど...とりあえず,これに関しては諦めて進む事に.
――恐怖の光景
...が,何故か始めは説明だけだったもう一つの訓練「ELPOD」がスタートした時は思いましたよさすがに.黒いじゃん.マジですかこの精神攻撃は...? と言うか,訓練を受けているのは主人公の郁未であるにもかかわらず,プレイヤーの精神にまで圧力をかけてくるこの訓練は,演出の実力と言う点で言えば良くできてると言うべきなんでしょう.どこかで「コンシューマへの移植は無理」との話があったような気がしますけど(kojimaさんのところだったかな?),確かに無理ですね...私が,この作品を黒いと評価するのはこの訓練があるからでもあります.と言うか,始めのうちはこの訓練のみにおいて真っ黒だと評価.後々,私にとってもう1ランク上のものが現れましたけど...
ではでは,サブキャラ由衣.私は随分思い入れが...何にって,シナリオにです.由衣は...お姉さんを捜しているようで.なるほど...こんなところへ来たのはお姉さんを連れ戻す為ですか.展開は悪くないんですが...
――捜す者
由衣のMINMESも相変わらず鋭利な刃物のようにざくざくとプレイヤーを切り刻む...せめてもう少し,永遠の世界くらいまでには穏やかであれば良いと思うんですけど.
意味深な由衣のお姉さんの反応も,楽しみではありましたけど,ちょっと...
あ,ちなみに,約束通りの脱出経路を捜しは最後の最後まで見つかりませんでした(笑).あと,少年の話にも笑いました.郁未,あんた突っ込み上手い...(笑)
――彼女は言った.「この人殺しっ!!」
で,話がそれましたが.それにしても,やっぱり思う.ちょっと,手段が鋭利すぎる.ざくざくと...由衣.由衣...由衣ーッ!!
ああ...なんてことを.本当か? 本当なのか? 違う...違う違う違う!! 由衣,お前が悪いんじゃないだろ...? なあ,由衣...お前が悪いわけじゃないだろ!? なあ...
由衣ッ!! 由衣ーッ!!!
......
――衝突
...悪いのは,誰ですか? 崩壊の原因はなんですか? 由衣でしょうか...そうかもしれません.由衣が悪いのかもしれません.直接の原因は少なくとも...由衣かもしれないとは思いますよ.でも,由衣をそうさせたのは誰でしょうか...? 本当に悪いのは誰でしょうか.
複雑な心境だった私.それにしても,...
――賞賛すべき少女
由衣...なんて娘だ.そう...ADMIRABLE LITTLE GIRL...
――次の目的
...由衣ッ!!! 由衣ッ!!!
由衣ーーーッ!!!(涙涙涙)
ちくしょうっ...責任者出て来い...責任者出て来い...
責任者出て来いーーーッ!!!(涙涙涙)
――人のぬくもり
...どうも.取り乱しまして失礼.ああ,それにしても痛いです...由衣.なんでこんな光景見せるんですか...? 本当は...これが現実になるはずだったのに.
どこで狂っちゃったんだろうねぇ...本当に.
――消失
...と,由衣の話を引きずりすぎて随分タイミングがずれてしまいましたけど.続く話は晴香.晴香は結局,お兄さん捜しのようですね.麻枝さんのシナリオに共通して見られるのは必ず「家族」.ここでもそう.ここから,そう.彼は,ずっとずっと,家族について訴え続けてきているのですね...
さあ.それにしても,晴香もまた随分な話です.
――最後の願い
家族...ですか.晴香の兄さんもまた...不幸な人な気がします.晴香については由衣ほど思い入れがあるわけでもないのでちょっと不公平ながらこんな感じですが(汗).
個人的には,お兄さんの目的がはっきりしなかったのがちょっと不満かなあ,と.え,もしかして選択肢次第では分かるとか? 確かにお兄さんは良いキャラだったと思いますけど,もう少し理由が欲しかったです.由衣のお姉さんは,ちゃんと目的を明かしてくれたような気がするんですが.
――真実は既にここにあり
さて,主人公郁未はちょっとおいといて...
全編通して痛い演出多量.ELPODは相変わらず恐怖のBGMと共に話が悪化していくし,MINMESだってその鋭利さをどんどん研ぎ澄ましているような気が.確かにONEの時も痛い演出は多かったと思いますけど,これは...刃物でざくざく,岩でがつん,って感じですね(汗).や,良くできてます...
まあ,演出が痛すぎることを除けば随分良い話の展開なのは何度も繰り返している通り.それにしても,ONEもそうでしたけど,これも結構不思議な世界観ですね.良くこんな設定を思いついたものだとただただ感心するばかり.やっぱりこれくらいはできないとONEの永遠の世界の構築は無理なのかもしれないな,なんて思います.
――繰り返す戦慄
謎を上手く残したまま突き進む物語も,やっぱり見事ではあるんでしょう.少しずつ解き明かされていく謎は絶妙のバランスで,本当に良くできていると思います.知らせすぎもせず,かつ少なすぎもせず.僅かにプレイヤーの方が主人公よりも情報量が多いことになりますけど,でもプレイに関してはシンクロしっぱなしで問題ないんじゃないでしょうか.
――衝突 再び
あと...選択肢は,ちょっと難しいかもしれません.特に重要な由衣と晴香のふたつ(笑).やった人なら分かるはず.1度目であれを分かれなんて言うのは随分難しいんじゃないでしょうか.まあ,ちゃんと解けるようにはなっているみたいですけど...
――家族
あ,でも,難易度的にはONEも似たような感じですか? 確かに,「右の道」「左の道」に通じるところがありますよねえ,この選択肢は...って,選択肢と言って良いのかどうかちょっと分からないですけど.やっぱり,この作品があって,そしてその上でONEがあるのでしょうね.なんとなく,そんな気がします.
――絶望は心を殺し
途中全体的な話を挟んでしまいましたが,主人公郁未のお話.
やっぱり話の筋はお母さんの怪死の理由と言うわけで,家族家族家族ですね.始めは主人公が女だってことでちょっと驚きもしましたけど,私とのシンクロ度はかなり高し(笑).やっぱり私は浩平が一番好きだし,シンクロ度としても浩平の方が高いかもしれませんけれども,これほど主人公に追加されていく打撃がプレイヤーまで届いたのも珍しいんじゃないでしょうか...うーん.でも,そのおかげでONEよりか評価を下げざるを得ないんですよね.ちょっと痛すぎ.
――無感動の日々は続き
郁未は主人公と言う事で,全編通して話があるわけですが,基本的にはMINMES,ELPODの2つの訓練ですか? MINMESの描写は綺麗ですが刺が多すぎますねぇ.ELPODは頭上から巨大な岩を落とされている感じです.だんだんサイズも大きくなってたりとかしませんか...?
ああ,それから,郁未はMINMESでバッドへ行きますけど...1度見てからはこれまた恐怖でしたね(笑).セーブデータをロードして,選択肢選びなおして,「ダメなのかーっ!?」って.毎度MINMES入る度に緊張感あふれる(笑).なんだかなあ.
最後,結局エンディングは,良くできてましたね.由衣はバッドの方が先だったので,そっちの印象が強いですし,むしろバッドの方が泣けましたけど,でも最後のエンディングは全員揃いたいですね.
――砂の城をただ無心に造る
...そして最後に.私がこの作品を黒いと評価するもう一つの理由.ELPODなる謎の精神攻撃も理由の一つだと前に述べましたが...最後の精神攻撃は半ば発狂しかけました.いや,ホントに.何がって...そりゃ,あれですよ.
――そして新たなる未来へ
ひっくり返ったまま約10週.やった人なら分かるはず.「ひっくり返る」の意味が.恐怖のBGMとともに,極めて私を混乱状態に陥れたまま平然と続く世界.世界は既に回ることすら止めているのだ.私がどんな精神状態だったか理解できる方がいかにいらっしゃるでしょうか? 何がって,
すのこって何!?
...って,なんか私の知識のなさを思いっきりばらしているような気がしますけど(汗),事実.すのこってなんのことかわかんなかったんですよー(涙).文具店もペットショップも回ったのにぃ.まさか風呂屋だとは思わないもん!!(爆) 一生このループから出られないのかと恐怖したんですよー(涙).本気で発狂しそうだったんで終了押しましたけど...Windowsのデスクトップが戻ってしばらくするまで落ちつきませんでした.いや,ホント(汗).
――ばいばい
...と.そんなわけで.あ,最後のこれは,正常に由衣の選択肢を選べた時の7日目の表示ですが...私はなにかしらやたらバッドに思い入れがあるので.それにしても,7日目だけ違うんですねぇ...しばらく気付きませんでしたよ私は.
...と,改めてそんなわけで.これもまた随分と家族家族家族と訴えかけてくれましたけれど,良い話である事は間違いないと思います.痛い演出が多いので,どこの評価でもそうなように,私も同じくお勧めはしませんが.
...ま,始めに購入ガイドだなんてわけのわからないもの書いてますけど,どこのレビュー見ても「お勧めしません」なんて書いてあったりするのでよけい気になるかもしれないですね.私もそのクチで買いましたけど.そうですね,でも現在の廉価版程度の値段なら,損したっていう気もしないです.むしろ安くて良かったな,と思うぐらい.まあ,ONEにKanonをちゃんとプレイして,やっぱり気になる! と言うのでしたらお店に捜しに行ってみてはいかが?
あ,そうだそうだ.おまけ.これ面白いです.みんなのコメントも面白ければRPGも良くできてる.テキスト面白いし...ゲーム本編中はギャグ部分は少なかったですけど,ここで一気に発散って感じですか? それにしても,やっぱり良いですね,こういうの.何度か作品を重ねていくにつれて,こういう遊び心って減っていってしまうらしいんですよねえ,開発者の方々...忙しくなるからってことなのかなあ.ONEもKanonもAIRも,CGモードとBGMモードだけみたいですし.こういう遊び心もいいと思うんですけど...有名になった後にこう言う事すると,やっぱり何か問題があるんでしょうか?
では,今回もお約束の曲の感想です.全体的に殺伐としてますけど,結構好きです.まあ,ドッペルあたりは聞いてると発狂しそうですけど(笑).
では,そういう事で...MOON.の感想を終わらせていただきます.m(_ _)m